なぜか手首の小指側が痛い・・・
捻ってしまったかな?
と思って、いつか良くなるだろうと放っておいたけど・・・
・・・???アレ、一向に良くならない
ていうか、だんだん痛みが増しているような・・・
今は手をつくのも、捻るのも痛い!
その人が、普段から手首を酷使するようなお仕事やスポーツや趣味などしているとしたら・・・
それは・・・TFCC損傷かもしれません。
【TFCC損傷とは】
まず“TFCC”とは略語です。何の略なのかというと・・・
T=Triangular(三角)
FC=FibroCartilage(線維軟骨)
C=Complex(複合体)
という、手首の小指側のある特定部位を現します。
その部分の損傷ということになります。
【原因】
手首をよく使うスポーツでなりやすいです。
例えば、テニス、バドミントン、ゴルフ、野球のバッティング、卓球などです。
あるいは楽器の演奏でも、ピアノやバイオリンをはじめパーカッションやトロンボーンなどでもなります。
お仕事でも、調理の包丁作業や鍋振り、引っ越し作業の運搬、工事現場でのあらゆる作業など、
とにかく手首を力を出しながら酷使するような動作すべてがリスク要因となりえます。
そうそう、PC作業のようにあまり強い力を使わなくても、激しく酷使するとなるときがあります。
それ以外でも、転倒時に手をついたときなどは、瞬間的な外力でTFCC損傷を起こすこともあります。
【症状】
手首の小指側の痛み、特に手の甲側の小指よりのあたりに痛みを訴えるケースがもっとも多いです。
手首を小指側に曲げる(尺屈)時に一番痛みが誘発され、ひどいとどの方向に曲げても痛かったり、腕を捻っても痛かったりします。
そのためにスポーツプレーや仕事に支障をきたします。
痛みの質は腱鞘炎のひどい時の痛みに近いです。(W経験者談)
【診断】
軟部組織の損傷になりますので、基本的にレントゲンには異状は出ません。
通常は発症の経緯等を問診で確認後、痛みの誘発動作や部位により推測します。(→当院はコレで判断)
疑問点が残る場合は、MRI検査や関節造影検査が必要になる場合があるので、病院へ精査を依頼します。
【治療】
たいていは“保存療法”になるかと思います。病院ですと、湿布+鎮痛薬等のセットで経過観察といったところでしょうか。痛みがひどければステロイド注射とかするかもしれません。
私たちは医師ではないので、薬や注射はできませんので、保存療法としてプラスαを工夫していかなければなりませんが、いずれにせよ保存療法の基底にあるのは“安静”です。
注射をしようが、湿布を貼ろうが、マッサージをしようが、鍼灸をしようが、とにかくなるべく痛い動作は控える、ということが前提になります。
これなくして、早期の回復は見込めません。
そもそもTFCC損傷は“治りづらい”損傷の代表格の一つとされています。
なぜかと言えば、まずはこの部分、血流に乏しい。炎症によって作られた発痛物質などを洗い流したいのに、流れが少ない!修復のための材料を血液に乗せて運びたいのに、流れが少ない!といった感じで、スムーズに治癒に向かわない。緩慢な経過をたどりがち。
さらには“安静”にしておいてほしいのに、やはり手!しかも多くは利き手。安静を心がけようにも、どうしても使わざるを得ないことが度々・・・。
これらのマイナス因子で、意外と治りそうで治りません。
そして・・・私たちが臨床の現場で最大の障壁となるのが・・・
安静にしたくとも、安静にできない事情!
コレです。
スポーツで、大事な試合がある、練習を休むとレギュラーから外されるなどの事情・・・
音楽で、演奏会がある、コンクールが近いなどの事情・・・
お仕事で、こんなことで休むわけにはいかない、自分がいないと迷惑を掛ける、売上に響くなどの事情・・・
様々な事情で、皆さん“安静”を守れない・・・。
勿論、ある一定期間極力安静にすることが、治癒の一番の近道になるのですが、それはわかっていてもどうしようもなくできない。
こういう人がとても多い。
結果、ダラダラとなかなか治りきらず、少しずつひどくなっていく・・・。
私たちは、そういうのっぴきならない事情を抱えて、休めばいいのに休めない人のTFCC損傷にどうアプローチするか?
この視点が一番重要だと考えます。
「安静にしましょう」 → 「安静にできません」
「それでは治りませんので勝手にしてください」・・・ではなく、
決して自身の身体よりスポーツや仕事の事情を優先すべきとは思いませんし、あくまで安静にすることを推奨いたしますが、それでもなおどうにかできないか?という人に対して、見放すことなく可能な限りお付き合いさせていただいております。(自己責任ということもご理解いただいた上で)
何をどうするか?ですが、手首を休ませられない、ということ以外の、必要と思われるあらゆることを考えていきます。
それはつまり、スポーツや仕事での手首を使ってしまう時間以外の過ごし方全部で、自己ケア、食生活(栄養面)、身体全体の体調、手首に影響する他の筋肉や関節のチェック、身体の使い方・・・まあいろんなことを考えます。
そして治療としてもそれらの情報を生かしたものを構築していきます。
例えば身体全体の体調面で、自然治癒力が低下してれば、それを回復させるための鍼灸治療や栄養指導を行ったり、
相対的柔軟性に問題があり、そのために余計に手首に負担がかかってしまうような体の使い方の癖などがあれば、それを修正していったり。
あとは患部の炎症や痛みを軽減するための物理療法として、微弱電流治療や超音波治療などを直接行ったりなど、いろんな方面からアプローチして、どうしても休めない人のTFCC損傷の治療の、ベストではないけど少しでもベターな治療で、きちんと休める時が訪れるまで、何とか共に耐え忍ぶ、といった道も選択肢の一つとして考えています。
正直なところ、本当は無理してでも休んで安静にしていただきたい。
医学的にもそれが正しい道です。
・・・それでも、どうしても・・・という事情が人生においては、よく発生しがち、ということも重々承知しているが上の、苦肉の策でございます。
筆者 鈴木一誠
宮町鍼灸整骨院
〒980-0004
仙台市青葉区宮町2-1-47阿部幸ビル2F
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【Instagram】
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