先週のブログに続いて後頭下筋群について以下の内容を解説いたします。
○どの様な筋肉か?
○どんな事により影響を受ける?
○後頭下筋群が引き起こす症状
○当院でのアプローチ
・どの様な筋肉か?
チームラボボディープロアプリによる画像引用
図の様に後頭部から首にかけて走行している筋肉であり、多方面に走っていて一見小さい筋肉に見えて分厚くしっかりした筋肉です。
筋紡錘と言われる感覚受容器が豊富であり、筋肉の長さの変化を感知する事に繊細です。
・どんな事により影響を受ける?
①先週記載した通り、ヘッドフォワードにより重い頭を常に後方へ引っ張る力が必要となり緊張せざるを得ない。
②交通事故によるムチウチ(鞭打ち)や頭部の打撲、転倒により頭が揺さぶられると言った外傷により、頭や神経を守ろうと過緊張を維持。
③眼精疲労
・後頭下筋群が引き起こす症状
先の図の様に後頭下筋群の隙間を神経や血管が走行しています。
後頭下筋群が緊張してしまうと、この神経や血管の絞扼が引き起こされ、後頭神経痛やめまい、吐き気を引き起こされるとされています。
これは単純に神経が締め付けられるだけでなく、「小後頭直筋・大後頭直筋・下頭斜筋」はmyodural bridge(筋硬膜橋)と言われる組織によって脊髄硬膜と連結しており、「①脳脊髄液の循環・②頚部の運動による硬膜の緊張のコントロール」に影響を与える為と考えられます。
また頸眼反射といって頚部への刺激によって起こる眼の反射があります。
後頭下筋の機能低下は眼球運動にも悪影響を起こす可能性があると考えられます。
・当院でのアプローチ
当院では電療機器による疼痛のパターンに合わせたハイボルト施術による神経の疼痛抑制、筋収縮を促す刺激、交感神経抑制等によって痛みの軽減を図ります。また、解剖学を理解した上で鍼灸施術で後頭下筋へアプローチ、長野式鍼灸施術による椎骨動脈血流促進処置等で症状の改善を図ります。
先にも述べた通り、頚部には神経の走行・血管の走行が急激に変化する場所等がり、頸椎のスラスト法などによるボキボキと鳴らす様な施術は危険であると考えます。厚生労働省の通達にもある通り、当院では行いません。
参考文献(孫引きさせていただいております)
1)
Kulkarni V, Chandy MJ, Babu KS. Quantitative study of muscle spindles in suboccipital muscles of human foetuses. Neurol India. 2001 Dec;49(4):355-9. PMID: 11799407.
2)
Richmond FJ, Abrahams VC. Physiological properties of muscle spindles in dorsal neck muscles of the cat J Neurophysiol. 1979 Mar; 42(2):604-17. doi: 10.1152/jn. 1979.42.2.604. PMID: 154558.
3)
Enix DE, Scali F, Pontell ME. The cervical myodural bridge, a review of literature and clinical implications.
J Can Chiropr Assoc. 2014 Jun;58(2):184-92. PMID: 24932022; PMCID: PMC4025088.
4)
Hack GD, Koritzer RT, Robinson WL, Hallgren RC, Greenman PE. Anatomic relation between the rectus capitis posterior minor muscle and the dura mater. Spine (Phila Pa 1976). 1995 Dec 1;20(23):2484-6. doi:
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5)
Scali F, Pontell ME, Enix DE, Marshall E. Histological analysis of the rectus capitis posterior major’ s myodural bridge. Spine J. 2013 May; 13(5):558-63. doi: 10.1016/j.spinee.2013.01.015. Epub 2013 Feb 11.
PMID: 23406969.
№16:後頭下筋群と脊髄硬膜間の連続性に関する形態学的および組織学的研究
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