放っておいてはいけない!腕に痛みが出て指先に力が入らないその症状。

腕の痛みが起こってしまった場合に考えられるのは、その場所の筋肉や関節に原因がある場合と全く別の場所に原因がある場合があります。

前者は使い過ぎや過度の負荷によって、炎症が起こったり筋肉の繊維が傷ついたり、していることが多いですが、今回は後者について解説していきます。

腕を支配している神経は首の隙間から出て指先まで走っていきます。

首の骨は7個あり、それぞれの隙間から神経が出ていきますが、上肢は主に5個目の骨から背中の1個目の骨とでつくる隙から出ていく神経が支配しています。この神経が指先まで走っていくルートのいずれかで絞扼(しめつける)場所があると、その場所から末端にかけて痛みやシビレ、脱力や知覚異常を引き起こします。

一番わかりやすいのは椅子の角に肘の内側をぶつけてしまうと、小指にかけてジーンと痛みが走るアレです。

皆さんも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?

肘をぶつけてしまうのは一時的なものなのですぐに症状は消えますが、次のような場合は早めに施術を行わないと症状が完治しないケースもあるため注意しなければいけません。

〇頸椎椎間板ヘルニア

〇頚椎症性神経根症

〇胸郭出口症候群

〇その他

上記の細かい説明について今回は省略しますが、いずれの疾患も神経を圧迫してしまう疾患で、圧迫して神経をつぶしてしまっている強さ・期間が長いと元に戻りにくく、症状が消失しないケースもあります。いかに早く圧迫から解放してあげられるかが重要です。

宮町鍼灸整骨院に来院していただいた患者様で、お医者さんの論文にも載るような症例がありましたのでご紹介いたします。

【患者】:50代 男性

【症状】:肩甲骨の間(右側)の痛み、関係あるか分からないが、肘の裏の痛みとやや手に力が入りにくい。

【現病歴】:受診された日の、5日前の朝に背伸びをした際に背中にバキッと衝撃が走った。そこから首をある角度にすると同部位へ痛みが誘発される。それと同じくしてか、肘の裏側が嫌な痛みがあり、物を摘まむ動作が出来ない症状まで出現してきた。

【既往歴】:関係部位については特記なし。

【所見】:首の前屈・顎を突き出し様な姿勢時に上肢へ疼痛誘発あり。

              腱反射では上腕三頭筋の腱反射で減弱あり

              フローマン徴候で陽性

              母指内転筋の筋力低下あり

通常ならば頸椎椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症による神経の根元が圧迫を受けていると推測され、早期に精査を行い、処置を行う必要があると判断しました。

【処置】:頚部の異常な筋緊張緩和と神経痛抑制の為に特殊電療機器(ハイボルテージ)と軽い手技療法を実施し、近隣のMRI検査ができる整形外科へ紹介状を作成し手続きを行いました。

【返事】:後日、紹介した整形外科よりお返事をいただきました。結果は「椎間板ヘルニアの疑い及び頸椎ガングリオンの疑い」でした。念のためさらに中核病院にて再精査検査を実施しやはり「頸椎ガングリオン」と診断されました。

ガングリオンとは関節包(関節を包む膜)や腱鞘(腱を包む鞘)に何らかの変性が起こり、潤滑液が流れ込んでゼリー状になった腫瘤で、手足の指や手首や足首、あらゆる場所に発生します。しかし頸椎に発生することは稀で、2000年初頭にお医者さんが論文を記載しています。

今回は医院にて投薬による経過観察を行うことになったようですが、手術を行うケースもあります。症状によっては医院ですぐに精査とならない場合もありますが、当院から紹介状を送らせてもらう事によりスムーズに処置が行われ早期対応が出来ました。

                          はり師・きゅう師 和田 昌司

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